モルタル造形でつくるオリジナル空間!下地から仕上げまでの工程

モルタル造形は、セメントと砂を水で練り合わせたモルタルに彫刻やエイジング塗装を施すことで、木や石、レンガなどの質感を再現する技法です。
この手法を用いることで、建物の外観に深みを与え、ヨーロッパの古城や童話の世界のような雰囲気を醸し出すことが可能となります。

本記事では、モルタル造形の基本概念と魅力について詳しく解説した上で、下地づくりや施工のポイントについても丁寧に説明いたします。
モルタル造形の知識を深めることで、あなたの空間デザインの選択肢が大きく広がることでしょう。

 

□モルタル造形の基本と魅力

1:モルタル造形とは

モルタル造形とは、セメントと砂を水で練り合わせたモルタルを建物の壁や塀に塗り、彫刻やエイジング塗装によって木や石、レンガなどの質感を再現する技法のことを指します。
塀や門柱、レンガ、塗壁、木などの表面にモルタルを塗り、造形を施すことで、独特の雰囲気を生み出せます。

エイジング塗装は、新しい素材に経年劣化したような風合いを加える技法で、アンティークな質感を再現するのに役立ちます。
ヨーロッパの古い街並みに見られる、崩れた塗り壁や石積みの壁面は、エイジング塗装によって施工されている場合があります。

2:デザインの自由度の高さ

モルタル造形の大きな魅力の一つは、デザインの自由度の高さです。
モルタルを削ったり盛ったりすることで、大きさや色、欠けの具合、錆びの程度などを自由にコントロールできます。
これにより、ヨーロッパの古城や童話の世界のような、独特の雰囲気を醸し出すことが可能となります。

一方、モルタル以外の素材を用いて同様のデザインを試みると、素材の性質上、表現に限界が生じることがあります。
例えば、実際のレンガを崩れそうな形に成形しようとすると、強度不足から建築基準法に抵触するリスクが生じます。

3:他素材との組み合わせ

モルタル造形のもう一つの利点は、他の素材と組み合わせられる点です。
これにより、質感や形状、雰囲気のバリエーションを大幅に増やせます。
例えば、発泡スチロールで下地を形成した上にモルタル造形を施せば、他の素材では表現が難しい複雑な形状を作り出せます。

また、組み合わせる木材の色によっても、モルタル造形の印象が変化します。
無塗装の天然木材と組み合わせれば無機質な雰囲気を和らげ、焦げ茶色の木材と合わせればモダンな印象を演出できます。

4:コストパフォーマンスの高さ

モルタル造形は、施工費用を抑えられる点も大きな魅力です。
主な材料であるセメントや砂は比較的安価で、既存の下地を活用できるため、材料費と工賃を最小限に抑えられます。

一方、天然石や岩などの天然素材を使ってオブジェを制作しようとすると、モルタル造形と比べて材料費が高くつく傾向にあります。
また、加工や運搬にも手間とコストがかかるため、総合的なコストパフォーマンスではモルタル造形に分があるといえるでしょう。

□モルタル造形の下地づくりと施工のポイント

1:下地づくりの重要性

モルタル造形を成功させるためには、下地づくりが非常に重要となります。
下地が不十分だと、モルタルの剥離や亀裂が生じ、せっかくの造形が台無しになってしまう可能性があります。
したがって、モルタル造形に取り組む際は、まず入念な下地づくりから始める必要があります。

具体的には、下地用のモルタルを塗り、メッシュを埋め込んでくし柄を作ります。
この下地用モルタルは、モルタル造形の重量に耐えられる強度を持つ必要があります。
モルタル造形において、下地づくりは例外なく必須の工程だと心得ましょう。

2:吸水調整剤の塗布

下地づくりが完了したら、吸水調整剤を塗布します。
この工程を行うことで、モルタル塗りの際にモルタルの水分が下地に急速に吸収されるのを防げます。
吸水が急速に進むと、モルタルが十分な強度を得られない恐れがあるためです。

3:モルタル塗りのコツ

下地モルタルが完全に乾燥したら、いよいよモルタル造形の本番です。
モルタルを一気に塗りつけるのではなく、まずは下地のくし柄に密着させるため、擦り塗りを行います。
擦り塗りを怠ると、後に剥離が生じる可能性があるため注意が必要です。

擦り塗りの後、5mmほどの厚さで均一にモルタルを塗り、その上から任意の厚さまで5mmずつ盛っていきます。
モルタル造形用に研究開発されたTFモルタルを使用するのもおすすめです。

4:カービングと乾燥

モルタル塗りが完了したら、ポイントツールとブラシ、刷毛を使ってカービング(彫刻)を行います。
仕上がったら、次の工程に進む前に十分な乾燥時間を取ることが重要です。
乾燥が不十分だと、塗膜の剥がれにつながる恐れがあります。

5:ベース塗装の重要性

カービングの次はベース塗装です。
この工程は、モルタル造形の耐久性に直結するため、下地づくりと同じくらい重要といえます。
ベース塗装を疎かにすると、ひび割れや雨漏りが生じ、最悪の場合はモルタルの剥離につながります。

ベース塗装の目的は、モルタル面の保護です。
まずシーラーを塗り、モルタル表面だけでなく内部にも浸透させて固めます。
内装用のシーラーは避け、外壁用の仕上げ塗料で完全に塗りつぶすことが肝要です。
内装なら1回、外装なら2回塗るのが目安です。

6:エイジング塗装のポイント

最後はエイジング塗装です。
この工程でモルタル造形の外観の良し悪しが決まるといっても過言ではありません。
エイジングに適した、顔料の多く含まれる専用塗料を使用することで、色褪せを防ぎ、高品質な仕上がりを実現できます。

 

□まとめ

モルタル造形は、セメントと砂を用いて木や石、レンガなどの質感を再現する技法であり、デザインの自由度が高く、他の素材との組み合わせも可能で、コストパフォーマンスにも優れています。

一方、下地づくりやベース塗装など、施工のポイントを押さえることが不可欠です。

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